幕間劇1 ばっくている・いんすとれーしょん


 ラッキーに加えて上村くんとも関係を持つようになり、夕方の散歩の後の3Pセックスが日課となって一週間ほどが過ぎた。
 さすがに毎日というわけではないけれど、した日の方が圧倒的に多い。上村くんの家族がいない日は必ず、だった。
 そして、今日も――

「梨花」
 名前を呼ばれる。
 普段の「委員長」というあだ名ではなく、名前を。
 上村くんの手が近づいてくる。
 その手には紅い首輪がある。ラッキーとお揃いの、私の名前が彫られた金属製のメダルが付いた、紅い首輪。
「……あ」
 首輪が着けられる。
 それが、合図。
 私たちの〈関係〉の始まりの合図。
 普段の〈クラスメイト〉や〈犬好き仲間〉ではない、特別な関係。
 上村くんは、私の〈飼い主〉。
 私は、上村くんの〈ペット〉。
 この首輪は、その証。
 首輪を着けている間、私は上村くんに逆らえない。
 私は、ご主人様に従順に従うペットの犬なのだ。
「…………っ」
 だから、服を脱がなければならない。
 私は、犬だから。
 上村くんは、飼い犬に服を着せる趣味はないから。
 鏡を見ずとも、顔が真っ赤になっているのがわかる。
 スカートのホックに手をかけただけで、こう。
 男の子の前で、自分で服を脱ぐことにはかなり抵抗がある。二年前の彼にはほとんど脱がされてばかりだったので、自分で脱ぐことには慣れていなかった。
 そもそも、異性の前に裸体を曝すこと自体がそう簡単なことではない。それでも「脱がされる」なら不可抗力ということもできるけれど、「自分で脱ぐ」となるとその恥ずかしさたるや桁違いに跳ねあがってしまう。
 しかし、だからこそ上村くんは私にそれをさせるのだ。
 恥ずかしがる私を見て、楽しんでいる。恥ずかしいことをさせられて感じてしまう私を見て、楽しんでいる。
 彼の命令に、私は逆らうことができない。
 だから、その行為をどれほど恥ずかしく感じるとしても、しなければならない。
 スカートを下ろす。
 ブラウスを脱ぐ。
 ソックスを下ろし、キャミソールも脱ぐ。
 そこまではまだいい。
 ここから一気に難易度が跳ねあがる。
 だけど、ここで手を止めることは許されない。上村くんが視線で続きを促してくる。
 手を背中に回し、ブラジャーを外す。
 覆っていたものがなくなった乳房が、大きなプリンのように揺れた。
 自分がひどく無防備になったような不安感に包まれる。手で隠したい衝動を、精一杯の自制心で抑える。隠すことも許されていない。
 そして、最後の一枚。
 手をかけたところで、小さく深呼吸。
 目を閉じて、心を決める。
 膝のあたりまで下ろして、脚を抜く。
 これで本当に、全裸。一糸まとわぬ姿。一番恥ずかしい部分まで、すべてを上村くんの眼前に曝している。
 さすがに、恥ずかしくてたまらない。
 手で隠すことはできないけれど、だからといって堂々と局部を曝せるわけもなく、不自然に内股になってしまう。
 がくがくと脚が震える。力が入らない。
 立っているのが辛くなってきてそのまま床に座り込むと、偶然にも、お座りする犬と同じような格好になった。
 真っ赤になった顔を上げて、上村くんを見あげる。
「相変わらず可愛いな」
 犬たちに向けるのと同じ、優しげな視線。学校にいる時よりもずっと柔らかな表情の上村くん。
「今日は、いいものを用意したんだ」
「……?」
 そういって取り出したのは、動物の耳が付いたカチューシャだった。
 定番のネコ耳ではなく、先端が小さく折れた、文字通りのドッグイヤー。
 まだ状況が飲み込めないまま、頭に着けられてしまう。
 ちらりと、壁に掛かっている姿見に視線を向けた。
 全裸で、赤い首輪をつけて、頭にはイヌ耳を載せた私の姿。
 私の髪はそれほど長い方ではないけれど、ふんわりと広がった柔らかいくせ毛のため、普段、自分の耳は隠れて見えない。
 だから、イヌの耳を生やした姿にも違和感はない。
 この格好、けっこう、いいかも。
 なかなか可愛い……ような気がする。
 それにしても、イヌ耳なんてどこで買ってきたのだろう。
「ハンズのパーティーグッズ売り場にあったぞ?」
「どこの世界のハンズよ、それ」
 わざと、素っ気ない口調でいう。この格好が気に入ったなんて、素直にいうのはさすがに恥ずかしすぎるから。
 全裸で、首輪とイヌ耳を着けられた姿。
 いつもよりもっと犬っぽくて、いつもよりさらに上村くんのペットっぽい。
 だから、もっと上村くんに甘えたくなってしまう。もっと彼の温もりが欲しくなってしまう。
 上村くんの前でお座りしている今の体勢、彼の股間がすぐ目の前にある。
 このまま口でしてあげたいな、とか。
 してあげたいというより、むしろ、させて欲しいな、とか。
 そんな気持ちになってしまって。
 ほとんど無意識のうちに、上村くんの股間に頬ずりしていた。
 そこは、硬く膨らんでいた。厚いデニムの生地越しでも、上村くんの体温を感じるような気がする。
 だけどやっぱり、直に感じたい。
 あの、とても大きくて、固い弾力があって、暑く脈打つものを頬ばりたい。
 そんな欲求が身体の中で膨らんでいく。
 だけど、自分でファスナーを下ろすことはできない。
 今の私は〈犬〉だから。
 人間のように手を使うわけにはいかない。
 かといって、口にくわえて動かすのも難しい。
 自分ではどうしようもなくて、上目遣いに、物欲しそうな表情で上村くんを見あげた。
 それだけで、私がなにを望んでいるのかは伝わったはず。
 言葉なしでも犬と意思の疎通ができる上村くんは、犬モードの私の気持ちもかなり正確に読み取ってくれる。
 もっとも、だからといって私の望みをすぐに叶えてくれるとは限らないのだけれど。
 彼はサドっ気があって、ちょっと意地悪だから。
 私がして欲しいと思っている時に限って、わざと焦らしたりする。
 今日も、彼は意地悪な笑みを浮かべて私を見ていた。
「実は、もうひとつプレゼントがあるんだ」
「……?」
 耳の他に、もうひとつ?
 それって、いったい?
 小さく首を傾げる。
 机の上に置いてあった紙袋から取り出されたものを見ても、さらに首の傾きが増すだけ。
 上村くんの手の中にあるものの正体がなんなのか、すぐには理解できなかったのだ。
 ふさふさの、羽箒のようなもの。
 しばし考えて、ようやく、それが尻尾だと気がついた。
 ラッキーに似た毛色の、作り物の尻尾。
 なるほど。
 耳に加えて尻尾も着ければ、さらに犬らしくなれる。
 それに一般論として、尻尾を着けた女の子は可愛いものだ。もしも耳だけであの丸い尻尾がないバニーガールがいたら、画竜点睛を欠くといわざるを得ないだろう。
 だから、私が犬の尻尾を着けられる、そのこと自体には不満も問題もない。
 しかし無視できないのは、上村くんが持っている尻尾の形状だ。
 正確には、尻尾の根元の部分の形状。
 大きなビー玉をいくつも一列につなげたような、棒状の部分。
 その形はどう見ても……
「ア……」
 いいかけたところで慌てて口を閉じ、その単語を呑み込んだ。
 さすがに、女の子の口からいえるわけがない――『アナルバイヴ』だなんて。
 そう。
 それは紛れもなく、尻尾のついたアナルバイヴだった。
 服の上からではなく、裸で尻尾をつける時には「どうやって身体に固定するか」という問題が生じるのだけれど、その解決策のひとつがこれ。
 とはいえ……
「……こ、今度こそ本当に訊きたいわね。どこで買ったの、そんなもの?」
「ハンズのパーティグッズ売り場に」
「あるわけないでしょ!」
 さすがに、尻尾付きアナルバイヴはジョークグッズとしてもアウトだろう。私としては、いっそ冗談で済ましてしまいたいところなのだけれど。
 だけど上村くんは、こんな時には冗談をいわない。常に本気だ。
 本気であれを、私の……お尻に、挿入しようとしている……はず。
 さすがに緊張する。ごくり……と唾を呑み込んだ。
「こーゆーの、経験ある?」
 手に持った尻尾をぱたぱたと振りながら、上村くんが訊く。
「あ、あるわけないじゃないっ!」
 私は顔を真っ赤にして叫んだ。
 今でこそ獣姦とか、その飼い主も交えた3Pとか、普通とはいえない行為に耽っているけれど、それ以前は、自分がまだ中学生で相手が塾の先生ということを除けば、普通のセックスしか経験していない。ベッドの上ではなく彼の車の中でしたことが、いちばん変わったシチュエーションだった。
 もちろん、お尻がセックスに使用される部位であることは知っているし、まったく興味がない……とはいわないけれど。
「じゃあ、初体験だな」
「……ほ、本当に?」
 ……挿れるの?
 それを?
 その、アナルバイヴを?
 私の、お尻に?
 上村くんがうなずく。
 少し、怖い。
 だけど、
 だからこそ、
 ドキドキしてしまうことも否めない。
 よりエッチなこと。
 よりアブノーマルなこと。
 それこそが、私を昂らせる要素になる。
「こっちにお尻向けて」
「…………、ん」
 私は、その言葉を拒むことができない。
 上村くんの命令に抗うことはできない。
 私は、上村くんの〈ペット〉だから。
 上村くんは私の飼い主、ご主人様だから。
 本音をいうと、ご主人様の命令に従わざるを得ないペット、というシチュエーションに酔っていることは否定できない。
 そのシチュエーションだからこそ、興奮してしまう。
 だから、このルールを自分に課している。
 やっぱり私、かなりMっ気があるんだと思う。
 そして、上村くんはかなりSっぽい。
 相性ぴったりといえばその通りなのだけれど。
 それでも、恥ずかしいものは恥ずかしい。
 だけど。
 恥ずかしいからこそ、興奮してしまうのも事実だ。
 恥ずかしがりながら、だけどそんな状況に悦びを覚えながら、四つん這いのまま上村くんにお尻を向けた。
 この体勢だと、アソコはもちろん、お尻の穴も上村くんにまる見えになってしまう。
 顔が熱い。
 熱くて、熱くて、今にも炎を噴き出しそうだ。
 そこへ――
「……ひゃんっ!」
 お尻に、突然の冷たい感触。
 ぬるりとした、冷たさ。
 これは……きっと、あれ。
 潤滑のための、ローションの類。
 膣と違って、お尻は自ら潤滑液を分泌する器官ではない。だから安全かつスムーズな挿入のためには、ローションは欠かせない。
 実体験はないくせにそうした知識はちゃんと持っている自分もどうかと思う。やっぱり私、真面目なふりしてかなりエッチなのだろう。
 そして上村くんは、サドっぽくてもちゃんと私の身体のことを考えてくれている。
 だから私は彼を信頼しているし、〈飼い主〉として認めて、ある種の好意も抱いている。
 だから、なんだかんだいっても、彼の求めることに応えてしまう。
「ふゃ……ぁ」
 思わず、甘い声が漏れる。
 念入りに塗り込まれるローション。
 上村くんの指が、私のお尻の穴を弄っている。入口はもちろん、中までローションをたっぷり塗り広げていく。
 恥ずかしい。
 お尻を愛撫されて声を出してしまう自分が恥ずかしい。
 くすぐったい。
 そして、ちょっと……いや、けっこう、かなり、気持ちいい。
 念入りに、というよりも執拗に、お尻を弄られている。
 だんだん、頭の中がとろけていく。
 どうしよう。
 気持ち、いい。
 どんどん、気持ちよくなってきてしまう。
 これはもう、はっきり「性的快感」といえるものだった。
 弄られているのはお尻なのに、アソコがぐっしょり濡れているのを感じる。
 まさか、お尻でこんなに感じてしまうなんて。
 信じられない。
 獣姦というアブノーマルな行為を経験しているとはいえ、前だってけっして「経験豊富」というほどではないというのに。
 初めて本格的に愛撫されたお尻で、感じてしまっている。
「ふぁ……あぁ、んっ……!」
 入って、くる。
 お尻の、穴が、拡げられて。
 中に、入ってくる。
 アナルバイヴが、私の中に入ってくる。
 いくつものビー玉を棒状につなげたような形状のアナルバイヴ。膨らんだ部分で穴が拡げられて、また窄まって。
 何度も、何度も、繰り返される。
 その一回ごとに、気持ちよさが増していく。
 どんどん、奥に入ってきて。
 どんどん、気持ちよくなっていく。
「ん、ぁ……はぁぁ……んっ!」
 徐々に強くなっていく、お尻の中の異物感。
 言葉では表現しにくい、えもいわれぬ感覚だ。
 少し、痛いような、苦しいような。
 少し、気持ち悪いような。
 だけど、その何倍も何十倍も、気持ちいいような。
 そして、何百倍も恥ずかしいような。
 だけど、感じてしまう。
 生まれて初めての、お尻への本格的な挿入。
 もう、かなり深く入っている。
 不思議な感覚だった。
 前への挿入にも少し似ているけれど、やっぱりなにか違う。
 無意識のうちに溜息が漏れてしまう。
 ……うん。
 悪く、ない。
 この感覚、けっこう、好きかも。
 もともと私は、アブノーマルな行為ほど感じてしまうのだ。
「……ふわぁっ、ぁんっ! あぁぁっ!」
 突然の、激しい刺激。
 くぐもったモーター音。
 上村くんが、アナルバイヴのスイッチを入れたのだ。
 ぱたぱたと動く尻尾。
 その動きは私の中に伝わり、お尻の穴が刺激され、直腸がかき混ぜられている。
「あぁっ……、んふぅっ……んっ、んくぅん……んぁっ!」
 抑えようとしても声が出てしまう。
 少しだけ痛くて。
 すごく熱くて。
 そしてなにより、気持ちいい。
 お尻の中で、螺旋を描くように蠢いている異物。
 膣にバイヴを挿れられた経験はあるけれど、お尻はもちろん初めての経験。
 なのに。
 感じてしまう。
 一回転ごとに、意識が朦朧としていくよう。
 視界が真っ白になっていく。
 身体の芯が熱く火照ってくる。
 すごい。
 いい。
 これ、イイ。
 どんどん、気持ちよくなってくる。
 信じられない。
 初めてなのに。
 お尻にアナルバイヴを挿れられるなんて、初めての経験なのに。
 もう、膣への挿入と変わらないくらいに感じている。
 このままだと、すぐに達してしまいそう。
 もう……だめ。
 もう……イキそう……。
 そう思った瞬間。
「……ふぁっ!?」
 不意に、背中に感じる重み。
 柔らかな毛皮の感触。
 ラッキーが背後からのしかかってきたのだ。
「梨花があまりにもエロい表情してるから、もう我慢できないってさ」
 からかうような口調の上村くん。
 私にしがみつくように腕を回してくるラッキー。
 そのため、ラッキーと私の身体に挟まれた尻尾が、より深く押し込まれる形になって、さらに刺激が強まった。
 しかしもちろん、それだけでは終わらない。
「ひゃ……っ、あぁぁぁんっ! ひぁぁぁっ!!」
 一気に膣奥まで押し込まれる、ラッキーのペニス。そこはお尻への刺激で蜜を溢れさせていたため、自分で思っていた以上にスムーズな挿入だった。
「はぁぁっ! あぁあぁぁぁっ!! ひぃぁぁぁ――っ!!」
 何度も悲鳴をあげてしまう。
 すごい。
 すごすぎる。
 ラッキーの分身が、私の中でどんどん大きくなっていく。
 狭い膣が内側から力ずくで押し拡げられ、その分、直腸が圧迫されている。
 大きく膨らんでいく膣に圧迫されて、お尻の中では、さほど太くないはずのアナルバイヴが存在感をいや増していく。強引に押しつけられるような感覚だ。
「ふぁあぁぁぁ――っ!! あぁっあはぁぁぁんっ!」
 だらしなく開かれた唇から、涎が滴る。抑えようとしても抑えられない絶叫で、息もできないほどだ。
「いつも以上に激しい反応だな。そんなにイイんだ?」
 上村くんの言葉に、応えることもできない。感じすぎて言葉にならない。ただがくがくと首を振るだけ。
 潤んだ瞳で上村くんを見あげる。
 開いたままの口から、涎が糸を引いて滴っている。たぶん、下の口も同じような状態に違いない。大きな瘤で栓をされていなければ、お漏らししたみたいな量のエッチな涎を溢れさせていたことだろう。
「自分だけ楽しんでないで、俺にもその気持ちよさをお裾分けしてくれよ」
 上村くんがファスナーを下ろす。
 うなずく私。
 眼前に露わになったのは、もうこれ以上はないくらいに大きくなっている上村くんの分身。
 真っ直ぐに上を向いて、びくびくと脈打っている。
 鼻先に突きつけられたそれに、私は衝動のままに夢中でしゃぶりついた。
 そうしたくてたまらなかった。口を、上村くんに犯されたかった。
 膣も、お尻も、気持ちよすぎるくらいに気持ちいい。だから、口も気持ちよくなりたかった。口だけなにもなしなんて寂しすぎる。
 口の中いっぱいに、上村くんを頬ばりたかった。上村くんの大きなペニスで、犯して欲しかった。
 イヌ耳カチューシャを着けたままの頭が乱暴に掴まれる。上村くんが腰を突き出してきて、喉まで塞がれてしまう。
 苦しい。
 けれど、それがイイ。
 おまんこも、お尻も、そして口も、痛いくらいに、苦しいくらいに、犯して欲しい。
 そうされるのが、本当に、本当に、気持ちよくて仕方がない。
 口でするのは、大好きだ。そして気持ちいい。
 初体験の頃から口での奉仕は好きだったけれど、上村くんと関係を持つようになってから、さらに切実に思う。
 本当に、すごい。
 すごく、気持ちいい。
 膣と口を同時に犯されるのは既に日課と化しているけれど、今日はそれにお尻が加わっている。
 それだけで、身体が感じる快感の総量が何倍にも増したみたい。
 夢中で舌を動かす。
 頬を、喉を、すぼめる。
 お尻を振る。
 裂けてしまいそうなほどに拡げられた膣を、それでも精一杯に締めつけようとする。
 ラッキーの熱い精が、膣に、子宮に、流れ込んでくるのを感じる。
 胎内が灼かれるような感覚。
 それが、気持ちよくて仕方がない。
「んんっ! んぅんんんぅん――っ!!」
 同時に、口の中に噴き出してくるどろどろの粘液。
 口の中全体に拡がっていく。
 すっかりおなじみになった味を口いっぱいに感じながら、酸欠と激しすぎる快感のために、私は意識を失ってしまった。



 その夜――

「うあぁぁぁ〜」
 私はいつものように、枕を抱きしめてベッドの上でごろごろと転がっていた。
 ラッキーと、そして上村くんとエッチした夜は、いつもこう。これも日課といってもいいかもしれない。
 恥ずかしい。
 恥ずかしすぎる。
 恥ずかしすぎて、じっとしていられない。
 してる最中は夢中になっているからわからないけれど、夜、独りになってそのことを想い出すと、恥ずかしくて恥ずかしくて、もう顔から火が出るどころの騒ぎではなくなってしまう。
 いつも、こう。
 だって、私のしていることといえば、獣姦と、そして3P。とんでもなく変態的な行為だ。
 上村くんはいつも過激で変態的な行為を要求してくる。
 私はそれに応えて、すごく感じてしまう。
 その時の私は、エッチのことしか考えられない、いやらしい女の子だ。
 変態的な行為でめちゃめちゃに感じて、いやらしい反応をしてしまう。
 そんな自分を振り返ると、その恥ずかしさたるや言葉で表現できる限界を超えている。
 
 今日も、そうだった。
 
 お尻、おまんこ、そして口。
 三箇所を同時に犯されるなんて、しかもうち一箇所はバイヴで、もう一箇所は獣姦だなんて、とんでもなく変態的な行為だ。こんなことを経験している女子高生なんて、まずいないだろう。
 だけど、だからこそ感じてしまう。
 普段は真面目な分、普通じゃない、変態的な、異常な、そして寄り卑猥な行為ほど興奮してしまうのだ。
 
 ああ、もう。
 今日は、もう、本当に。
 
 ……すごく、よかった。
 
 信じられない。
 お尻が、あんなに感じるなんて。
 初めてなのに。
 お尻なのに。
 お尻への刺激だけでもいきそうだった。
 たぶん、あのままお尻だけを攻められ続けていたとしても達していただろう。
 想い出すと、すごく恥ずかしい。
 だけど、それ以上に期待してしまう。
 そう、期待だ。
 アナルバイヴだけであんなに感じてしまうなんて。
 もしもあれが、もっと長くて、太くて、固くて熱い本物のペニスだったら、いったいどれほど感じてしまったことだろう。
 きっと、そう遠くない未来に経験してしまうはず。
 本音をいうと、それが楽しみで仕方がない。
 そんなことを想ってまた下着を濡らしてしまう私は、本当に変態っぽい。
 学校では優等生と思われている高校二年生の女の子としては、ちょっと問題かもしれない。
 
 だけど、そんなことよりもっと重要な問題がある。
 
 ……さて。
 私の、後ろの〈初めて〉は、大好きなふたりの男の子の、どちらにあげるべきなんだろう?


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