…長いって。
とゆ〜わけで、ようやく『金色の瞳・後編』をお届けすることができます。
それにしても長かった。前後編合わせると原稿用紙三百八十枚以上。過去最長の『ファ・ラーナの聖墓』でも三百二十枚強ですから、前後編に分けたのは正解でしょう。でも前編百四十枚に対して後編は二百四十枚で、ちょっとアンバランス。しかも途中から文体まで変わっちゃってるし。
それはさておき、これで第二部『竜騎士編』も終わりですから、今回はあとがきも少し長めでいきます。『光』本編のあとがきはしばらく書けないので、どうかお付き合いください。
今回はタイトルの通り、ファージが主人公です。
前編はほとんど奈子とエイシスの話になっていたので、どうなるのかと心配しましたが、後編はファージの出番もたっぷり。ただしほとんどが生前ファージ。
でも、本当にファージが主人公と言っていいんでしょうかね? なんか、イルミールナとかクレインが美味しいところ持ってってないかい?(笑)
まあとにかく、これでファージの謎はほぼ明らかになったわけです。「ファージ=千年前の竜騎士」説は、すでに第六話時点で一部の読者に見抜かれていましたけどね。でも「年増」と呼ぶのはどうかなぁ。生まれは千年前でも、いまの身体は十六歳時点のものを正確に再現してるわけですから。実年齢千歳、肉体年齢十六歳? う〜ん…。
でも精神年齢は…? とても千年も生きてるようには見えませんね。ひょっとして「記憶溢れ」でも起こしてるのか?(笑)
そういえばファージやクレインの不死化の方法って…。志麻ケイイチ氏の『神々は記憶の海に沈む』を読んで、思わず「しまった!」って叫んじゃいましたよ、私ゃ。
そして今回、無銘の剣誕生の経緯も明らかになりました。剣を鍛えるシーンは『ファ・ラーナの聖墓』でも少しだけ書いてありましたけど。
え? まるで「獣の槍」だって? それは言わない約束よ(笑)。
でも、トリニアで作られた剣が、どうしてストレインの竜騎士であるレイナの手に渡ったのか…詳しく書くと長くなるので割愛。実は、あの剣を拾った騎士ヴェルジュレスは『レイナの剣』に登場したユウナ・ヴィ・ラーナのご先祖にあたります。曾祖父だったかな?
この辺の詳しい話は、そのうち機会があれば外伝とかで書きましょう。
それにしても『金色の瞳・前編』を読んだ読者の多くは、「後編は奈子vsアィアリスの闘いと、ファージ復活の物語になる」と思ったのではないでしょうか? 第六章『復讐の序曲』を読んでもそう思いますよね、普通。
思いっきり読者を裏切ってます、私。アィアリスやアルワライェはどこ行った、って感じ。
しかし考えてみると、これまでの『光』でも、まともに敵のボスキャラ(いわゆるラスボスってヤツ?)を倒して終わった話ってほとんどないんじゃないでしょうか? そもそも「ボスキャラ」と呼ぶべき相手がいない話もけっこうありますしね、『ファ・ラーナの聖墓』とか。
これってひょっとして、この手のライトファンタジーアクションにはあるまじき展開では? と、書いてる本人たまに不安になります。読者はもっと、「主人公が幾多の困難を乗り越え、強大かつ凶悪なボスキャラを倒す」という、ありがちではあるが爽快な展開を期待しているのかもしれない、と。
でも私、そ〜ゆ〜の嫌いなんですよ。そんなわけで『光の王国』の基本テーマは「異世界の歴史探訪と、奈子と由維の愛情物語」です(笑)。そこのところ、ご理解ください。
今回もまた、後半はほとんど昔話です。奈子はただそれを見たり聞いたりしているだけ。これでいいのか、主人公。
もともと、王国時代の竜騎士たちの物語の方が、先に存在していたんですね。高校生の頃から温めてきた企画で、タイトルは『ラーナ戦記』といいます。
ユウナ・ヴィが主人公で、ライバルであるレイナ・ディとの戦いを中心に、トリニアとストレインの最終戦争と両国の滅亡を描いた物語。これをベースに、ライトファンタジーにありがちな(笑)「異世界乱入モノ」にしたのが現在の『光の王国』というわけ。
だから『光』で書かれている昔話の大半は、この『ラーナ戦記』の断片なのです。
ところで今回、亜依の出番がありませんでした。最近、人気急上昇なのに。
出番がないといえば、ハルティやアイミィをはじめとするマイカラス王国の面々もそう。基本的に彼らは、舞台がマイカラスじゃないと出てこれませんから。次回も危ないかも。
フェイリアとエイシスは完全にレギュラー化しちゃいましたね。最初はこんな予定じゃなかったのに。きっと次回も出てくるでしょう。でも、あまりエイシスの出番が増えると、一部(それとも大多数?)の「特殊な趣味の読者」(笑)が文句言うからなぁ…。
今回は由維の出番も少な目ですね。終章だけだから。
『光』本編の第一章は、必ず奈子×由維の百合シーンから始まることになっているのです(そう、意図的にパターン化しているんですよ)が、今回は六章からのスタートなのでそれもなし。だから今回、本編の百合度がちょっと低め。そこで、エピローグを少しエッチにしてみました。
『金色の瞳・前編』のあとがきで「しばらくは健全路線で…」なんて言ってたのはいったい誰でしょうね(笑)。
前編のあとがきでは、もうひとつウソついてます。インタルード5『眠れない夜のために』は「由維×亜依のお話ではない」って言い切ってますね。これも大ウソ。確かに、「由維×亜依」ではなくて「亜依×由維」でしたけど(笑)。
いや、書き始めるまでは確かにそんなつもりはなかったんですよ。きっとこれは、小人さんが勝手に書いたのでは…。
これから先の百合度については…、予告しない方が身のため?
奈子×由維で思い出したけど、由維は奈子のことを「奈子先輩」って呼んでますよね。これ、なんとかならないでしょうか?
恋人としてはちょっとよそよそしいかな〜、と思ってるんですよ、最近。
ちなみに小さい頃は「奈子ちゃん」と呼んでいたらしいですが。(『銀砂の戦姫』一章参照)
でもいまさら「奈子ちゃん」ってのもね〜。「奈子」って呼び捨てにするのもちょっとイメージ違うし…。
やっぱり、アレでしょうかね?
そう、アレ。
「お姉さま」って(爆)。
では最後に、これからの予定を書いて終わりましょう。
次回作は…
「ごめんなさい!」
先に謝っておきます。『光の王国』本編はしばらく(数ヶ月)お休みします。インタルードや番外編は書くかもしれませんが。
今回で第二部『竜騎士編』が終わり、第三部へと進むわけですが、その前にのんびりと、他の作品を書いて英気を養おうかな、と。第三部の構想も、もう少し練り直したい部分がありますし。
そんなわけで、第八話『レーナの御子』は多分来年になるでしょう。
今年後半の予定は…まず、『月羽根の少女』の新作『炎のたからもの』が企画進行中。健全純愛モノの前作とはうって変わって、健全百合モノになる予定。その合間に『マリア様がみてる』二次創作の『ポケットの中の十字架』の続き。そして『コバルト・ロマン大賞』とか『電撃ゲーム小説大賞』とか…(笑)。時間があったら『たたかう少女2』も書きたいけど、ちょっと難しいかな。
では、また、次の作品でお会いしましょう。
一九九九年八月 北原樹恒
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創作館ふれ・ちせ
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