インタルード1 わたしだけ……


 由維は、まるで踊るような足取りで、奈子の家へと向かっていた。
 周りのもの全てが輝いて見える。なんて気持ちの良い朝だろう。
 由維にとって、今日は昨日までとは違う。あの憂鬱な日々はもう過去のこと。
 なにしろ、奈子が帰ってきたのだから。


 奈子の家までの数百メートルを走り抜けた由維は、玄関のチャイムも鳴らさずに家の中へと飛び込んだ。長い付き合いだから、これはいつものこと。
 そのまま階段を昇り、奈子の部屋の扉を開ける。
「奈子先輩っ! おっはよー……ん?」
 予想を裏切る室内の光景に、由維は一瞬立ち止まった。
 奈子は、まだベッドの中にいた。普段、夜明けと同時に起きる奈子にしては珍しい。
「奈子せんぱーい、朝だよー。起きてよー」
 奈子の身体を揺すりながら、耳元で叫ぶ。と、奈子はようやくもぞもぞと身体を動かし、薄目を開けた。
「んー、由維ぃー? 今、何時……?」
「もう八時過ぎですよ?」
「……八時? 朝の……?」
 まだ半分寝ているような声で訊き返してくる。寝起きのよい、いつもの奈子からは考えられない。
「当たり前じゃないですか。一体どうしたんですか? 奈子先輩が朝寝坊なんて……」
「ゴメン、もう少し寝かせて……。つい先刻、ベッドに入ったばっかなんだ……」
 その台詞に少し驚いた。奈子が家に帰ったのは、昨夜の十時前なのに。
「先刻寝たばかりって……一晩中、何してたんです?」
「お説教……」
 枕に顔を埋めながら、奈子は答える。
 その一言で、事情は理解できた。
『しばらく旅に出ます。いつか、きっと帰りますので、心配しないでください』
 そんな書き置きひとつ残して、まだ十五歳の一人娘が三週間も失踪していたのである。普通の親なら、娘の無事な姿を見て安堵すると同時に、娘を叱り、また、事情を問うのが当たり前だろう。
 俳優という職業柄、札幌のこの家には帰らないことが多い奈子の両親も、その点では我が子を愛する普通の親だ。
 しかし、奈子の『家出』の理由、そして、どこへ行っていたのかは、とても親に説明できるようなものではない。必然的に、お説教は長引くことになったのだろう。
 一晩中続いた説教と尋問も、両親が今日、二人とも東京で仕事があるということで、朝になってやっと終わり、奈子は三週間ぶりに自分のベッドで眠ることができたというわけだ。
「おじさんとおばさんは……千歳?」
「そう……、朝イチの飛行機だって……。あの人たちは業界人だからね、一晩くらい徹夜しても平気なの。……でも、アタシはもうダメ。だから、さ、もうちょっと寝かせて」
 奈子が、半分寝ながら懇願する。由維は小さく溜息をついた。
「ちぇっ、今日は久しぶりに、奈子先輩とデートできると思ったのに……」
「……ゴメン。起きたら、付き合ったげるから」
 奈子と由維が一緒に出かけることは珍しくない。もっとも、普段の奈子は『デート』というとあからさまにイヤな顔をするのだが、さすがに今は由維の言葉に突っ込む余裕もないらしい。
「わかりました、じゃ、私も寝てよっと」
 そう言って、由維は奈子のベッドに潜り込む。奈子が身体をずらして、由維のためのスペースを作ってくれた。
 奈子のベッドは大きめのセミダブルだから、女の子二人――しかも一人は平均以上に小柄な由維――が入るのに十分なスペースがある。
 ことあるごとに「アタシはノーマルだ」と主張する奈子も、由維とひとつのベッドで寝ることには抵抗がなかった。
 なにしろ二人は、由維の母親がまだ赤ん坊の由維を連れて『公園デビュー』をした時からの付き合い。一緒にお昼寝をするのは当たり前のことだった。
 ベッドに入るとすぐに、奈子は寝息を立て始めた。よほど眠かったらしい。
 由維は、しばらく奈子の寝顔を見つめていた。
 涙が出そうだった。
 隣に、奈子が寝ている。ただそれだけのことが、どれほど嬉しいことか。この三週間の間に、いやというほど思い知らされた。
 久しぶりに感じる奈子の体温、匂い、鼓動。
 そのひとつひとつが、由維にとっては涙が出るほど嬉しかった。手を伸ばして、奈子がパジャマ代わりに着ているTシャツの裾を、そっと掴む。
(私、やっぱり奈子先輩のこと、大好きなんだなぁ……)
 声を出さずにつぶやき、静かに目を閉じる。
 先天的お気楽娘の由維も「自分の好きな人が女性であること」について、悩んだことがないわけではない。しかし結局、「好きなものは仕方がない」と開き直ることにしていた。いくら悩んだところで、「好き」という気持ちだけは疑いようのない事実だったから。
 奈子先輩が好き。
 大好き。
 たとえ、周囲からなんと言われようとも。
 奈子の腕に、顔をすり寄せる。
 暖かい。肌で感じる以上に、心が暖かい。
 薄い生地を通して伝わってくる温もりを楽しむうちに、いつしか由維も眠りに落ちていった。



 先に目を覚ましたのは、由維の方だった。枕元の時計をちらと見ると、既に正午を過ぎている。四時間くらいは寝ていた計算だ。
 寝返りをうって奈子の方を向き、そこで初めて、まだ眠っているはずの奈子が、苦しげな表情を浮かべているのに気が付いた。額には汗が浮かんでいる。
「奈子……先輩?」
「違う……、楽しくなんか……ない……、人を傷つける……ことなんか……」
 うなされるように、奈子がつぶやく。由維は、奈子の肩に手を置いた。
「奈子先輩、起きて。奈子先輩……」
 揺する手に力を込めると、奈子ははっと目を覚まし、数秒経ってから大きく息を吐き出した。
「はぁ……、夢、か」
「どうしたの奈子先輩、怖い夢でも見たの?」
 まるで母親が子供にするように、ハンカチで奈子の額の汗を拭きながら、由維が尋ねる。奈子は、無言でうなずいた。
「もう大丈夫、それは夢、なんだから……」
 そう耳元でささやいてやる。しかし、奈子の表情は暗い。
「夢……夢か。いや、違う。そうじゃない……」
 独り言のようにつぶやき、一度由維の顔を見て、そしてまた目を逸らした。
「……話さなきゃ、ならないね。向こうでのこと……」
 しばらく間を置いてそう言った時には、由維は悪夢の正体に気付いていた。
 奈子は、ファージ――ファーリッジ・ルゥの敵を討つために向こうへ行ったのだ。奈子の性格からして、目的を果たさないうちに帰ってくるとは考えにくい。
 つまりは、そういうことだ。
(そうか……そういうことか……)
 由維は、心の中でうなずいた。
 奈子は、周囲の者が思っているより、ずっと優しい人間だ。あるいは、精神的に脆い部分があるといってもいい。その点、根っからケンカ好きの北原美樹とは違う。由維は、そのことをよくわかっていた。
 その奈子が、たとえ親友の仇とはいえ、本当に人を殺したのだとしたら。
「奈子……先輩……」
「……うん、話さなきゃいけない。でも……」
 奈子が、考え込むような表情になる。どんな風に話したらいいのか、考えているのだろうか。
 そうだろう。自分が人を殺したことを告白するなど、簡単なことではない。
 奈子は、なにか言いかけては口を閉じるという動作を何度も繰り返した。
 奈子は、今どんな心境なのだろう。そんなことを考えていた由維は、思わず、ぷっと吹きだしてしまった。
「……何が、おかしいの?」
 むっとした表情で、奈子が訊く。
 悪戯っぽい笑みを浮かべて、由維は奈子の顔を見た。
「だって奈子先輩、つまらないことで悩んでるンだもん」
「つまらないこと? ちょっと、つまらないことって、どういうこと?」
 奈子の声が大きくなる。しかし由維は相変わらずにこにこと笑っていた。
「そんなに、私に嫌われるのが怖い?」
「……!」
 言葉に詰まる奈子に、由維は言葉を続けた。
「私に嫌われたくない。それを聞いたら、私が奈子先輩のこと、嫌いになってしまうかもしれない。それが怖いから、なかなか話が切り出せない、どう話したらいいか考えている……違いますか?」
 奈子が驚いた顔になる。それは、自分でも気付いていなかった心理を言い当てられた表情だった。
「だから、つまらないことだって言ったンですよ」
 そう言うと、由維はぎゅっと抱きついた。奈子の胸に顔を埋めるようにして。
「私は、奈子先輩の味方だもん。たとえ何があったって、奈子先輩のこと好きだもん」
「由維……」
「何があったって、私だけは、奈子先輩の側にいるもん。だから、何も心配しなくていいの……」
 顔を上げた由維がにっこりと微笑むと、奈子の表情から緊張の色が薄れる。
「ね?」
「そうか……、そうだよね。アタシも、それはわかってたんだ……」
 独り言のようにつぶやいて、由維の身体をぎゅっと抱きしめる。それから、向こうの世界でのことをぽつりぽつりと話し始めた。
 正直に言って、奈子が人を殺したという事実は、由維にとってもかなりのショックであった。しかし、そんな素振りを見せたら、よりいっそう奈子が傷つくだろうということもわかっていた。
 だから由維は奈子に表情を見られないように、枕に顔を埋めて聞いていた。
 奈子もやはり気にしているのか、由維の方を見ないようにして話を続けた。



 少しずつ、ゆっくりと話したため、全ての話が終わるまでには随分と時間がかかった。
 その間、由維は何も言わずに黙っていた。
 話が終わって、奈子はそのまま壁を見つめていたが、何分か過ぎても由維が黙っているので、恐る恐る由維の方を見た。
 そこで一瞬驚いたように目を見開き、すぐに不機嫌な顔になる。
 由維が、いつの間にやら静かに寝息を立てていたからだ。
「……この子ったら……、アタシが、一大決心をして告白したというのに、何考えてるの!」
 微かに口を開けて、気持ちよさそうに寝ている由維は、そんな奈子の言葉にも反応しない。
 むっとした表情で由維を見下ろしていた奈子だったが、やがて、ふっと小さく笑った。
(そうか……。あんたは『何があっても』アタシのこと、好きなんだもんね? こんな話、聞いても聞かなくても同じか……)
 由維の口に、自分の髪の毛が一本引っかかっていた。奈子はそっと手を伸ばし、それを取ってやる。
(アタシ、あんたのことだけは、無条件で信じていいんだよね? 由維……)
 とても愛おしい。
 こんなにも由維を愛おしく感じたのは初めてだ。
 由維の寝息に意識を集中する。大丈夫。確かに眠っている。
 奈子は、静かに顔を近づけていった。由維の唇の端に、そっとキスをする。
 その瞬間。
 眠っていると信じていた由維が、いきなり目を開けた。
 慌てて身体を離そうとしたが、一瞬速く由維の腕に抱きしめられてしまう。
「えへへ……つかまえた」
「……っあ、あの……由維。違うのっ。これは、その……」
 真っ赤になって、しどろもどろに言い訳する奈子を見ながら、由維は嬉しそうに笑っている。
「言い訳しなくたっていいですよ。私のこと好きだから、キスしてくれた。そうでしょ?」
「す……好きったって、別に。そういう『好き』じゃなくて……」
「好きは好き。それをいちいち分類しようとするから、問題がややこしくなるんですよ」
「でも……」
 奈子は身体を起こそうとしたが、由維の腕にしっかりと抱きしめられていてそれもできない。二人の顔はいまだ数センチの距離にある。ほんの少し顔を動かしたら、また唇が触れてしまいそうだ。
「奈子先輩は、私のこと好きですか? 嫌いですか?」
「……そりゃ、好きか嫌いかって聞かれたら……好きって答えるよ。でも……」
「もし私たちが男と女だったら、ちゃんとした恋人同士になっていたと思いませんか?」
 由維の言葉に、一瞬考えた。
 物心ついた頃から、幼なじみとして、親友として、先輩後輩として、一緒にいるのが当たり前だった。
(もし、アタシたちが男と女だったら?)
 確かに、きっと恋人として付き合うようになっていたに違いない。それが自然だ。
 しかし。
「でも実際、アタシたちは女なんだし……」
「いいじゃないですか、そんなの。恋愛に性別なんて関係ありません」
「いや、でも、あの……」
 狼狽える奈子をよそに、由維は唇を寄せてくる。
(いけない、完全に由維のペースに飲まれてる! 何とかごまかさないと……)
 その瞬間、一つのアイディアが浮かんだ。これなら、由維の気を逸らせるかもしれない。
「由維、あ、アタシ……お腹すいちゃったなぁ。あはは……」
 唇が触れるか触れないか、というところで、由維の顔が止まる。
「……もぉ、ムードないんだから」
 口をとがらせて言うが、しかし、本気で怒っているわけではなさそうだ。奈子はほっと息をつく。
「……で、何食べたいですか?」
「んーと……。シーフードパエリアと、キノコのスープ!」
 両親が留守がちな奈子だが、自分ではベーコンエッグより複雑な料理は作れない。しかも、インスタント食品が嫌いときているから、奈子の食生活は由維の双肩にかかっていると言ってもいい。
 幸いなことに、由維は料理をはじめ、家事全般はお手の物だ。
 正確には、奈子が家事が苦手だからこそ、由維は家事が得意になったと言うべきだろう。
「パエリアか……、うん、いいですよ」
 由維がにっこりと微笑んだ。
「作ってほしければ、キ・ス・し・て?」
「――っ!」
 墓穴を掘った。
 さっと、奈子の顔色が変わる。
 由維の気をそらそうと無理やり話題を変えたつもりだったのだが、ヤブヘビだったようだ。
 どうしよう。奈子は天井を見上げた。正直に言って、空腹はそろそろ限界だった。更に言えば、お世辞にも美味しいとは言えない自分の料理など食べたくもない。
 でも、だからと言って……キス?
 由維と?
 女同士で?
「う……」
「さぁ、奈子先輩?」
 由維が挑発的な目で見つめてくる。奈子が、由維の手料理に弱いことをよくわかっているのだ。奈子は、自分の手に勝負できるカードが一枚もないことを悟った。
(仕方がない、美味しいゴハンのためだ……)
 それで自分を納得させることにする。それに、その場の雰囲気に流されてとはいえ、由維とは昨夜もキスしている。もう一度くらい、いいではないか。
「……ポテトサラダもつけてくれる?」
「もちろん、いいですよ」
 明るく応えながら、由維は目を閉じる。
 さあ早く、とピンク色の唇が奈子を誘っていた。奈子は間近から由維の顔を観察する。
(やっぱり可愛いよなぁ、この子。いや、誰がなんと言おうと、アタシはノーマルだけどねっ! でも、やっぱり可愛いよなぁ)
 そぅっと、顔を近づけていく。
 あと一センチくらいというところで一度止まり、そして、意を決して唇を重ねる。
「ん……」
 微かな声を漏らし、由維の小さな身体がぴくりと震えた。



(奈子先輩……)
 由維は、心臓の鼓動がこれまで経験したことないくらい激しくなるのを感じていた。
 普段は自分から迫っているとはいえ、実際に奈子とちゃんとキスするのは昨夜に続いて二度目だし、そしてなにより、今は奈子のベッドに寝ているのだ。
(この体勢って、なんか、凄くエッチかも)
 恥ずかしさのあまり、奈子の身体に回した腕にぎゅっと力を込める。
 その時。
(えっ? な、奈子先輩っ?)
 突然、唇を割って奈子が舌を入れてきたので、由維は慌ててしまった。昨夜の『ディープキス未遂』でも、奈子は半分本気で怒っていたというのに、今日は奈子の方から……なんて。
 それはもちろん、由維には初めての体験だ。由維も恐る恐る舌を伸ばし、二人の舌が触れ合う。
(えー、えー? うそー、嬉しーっ!)
 頬が真っ赤になる。これは、ご飯と引き替えのおざなりなキスなどではない。まさしく、恋人同士のキスではないか。
(奈子先輩、なんだかんだ言っても、やっぱり私のこと愛してくれてるんですね。だから、ほら、キスだけで、こんなに気持ちイイ……って、え、えぇぇっっ!)
 思わず、叫び声を上げそうになった。奈子の手が、由維の内股……それも、かなり際どい部分に触れたからだ。
(ちょっちょっ、ちょっと、奈子先輩ー、そんなぁ、まだ心の準備が! 私まだ中一だし……いや、でも……)
 由維の戸惑いをよそに、奈子の手が少しずつ上に上がり、由維のスカートの中に潜り込んでくる。いよいよ、冗談では済まない部分に触れる……というその瞬間、由維は思わず叫んでしまった。
「……! そこはだめっ! やめてっ!」
 叫びながら身体を突き放し、ベッドの隅に逃げてしまった。スカートの裾をしっかりと手で押さえて奈子の方を見ると、奈子は、くっくっと喉の奥で笑っている。
「奈子先輩……?」
 由維が首を傾げるのと同時に、堪えきれなくなったのか奈子は声を上げて笑い出した。
「あっはっは……。普段あれだけ挑発してくるくせに、いざとなったら怖じ気づくんだ? しょせん子供だもんねー」
 笑い過ぎて目に涙を浮かべている。
「あ、あ、あー! 奈子先輩、私のことからかったんだっ?」
「普段あんたにイニシアチブ取られっ放しだからね。どぉ、ちょっと驚いたっしょ? あの『やめてっ!』って言うときの慌て振りったら……」
 そう言うと奈子はまた笑い出した。由維は頬を膨らませる。
「……奈子先輩のいじわるー」
「でも、約束は約束だからね。パエリアとキノコスープ、それにポテトサラダ」
「うー」
 由維は口を尖らせるが、確かに奈子が正しい。食事を作る条件は『キス』であり、その点、奈子は確かに約束を守っている。
「もぉ、わかりましたよ。ちょっと時間かかりますから、待ってて下さいね」
 小声でぶつぶつ言いながらも、由維はベッドから立ち上がる。
 部屋から出ようとしたところで、ふと、あることに気付いて立ち止まった。
「奈子先輩……?」
 まだベッドに座っている奈子を振り返る。
「ん?」
「もし、あのとき私が拒まなかったら、どうしてました?」
 こう聞けば、少しは狼狽えるかと思ったのだが。
「さぁ?」
 予想を裏切り、奈子は平然と笑って答えた。
「それは、またの機会のお楽しみってことで。まぁ、またの機会があれば、の話だけどね」
 由維は肩をすくめると、キッチンへ向かう。
 先刻の濃厚なキスが、奈子の本心だったのか、それとも単に由維をからかうためだけだったのか、今の由維にはそれを知る術はなかった。



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