数あるキタハラ作品の中でも、『たた少』ほど作者の思い通りに進まなかった話はないですねぇ。ここまで当初の構想とかけ離れた作品も珍しいです。
もともとのコンセプトは「それぞれタイプの違う四人の女の子(三人娘+アリアーナ)の冒険活劇コメディ」だったはずなんですけど、どこでどう間違えたやら。
やっぱり、彩樹というキャラが強烈すぎましたかね? 彼女の個性の前に、早苗や一姫がすっかり食われてしまいました、ふたつの意味で(笑)。
いろいろと痛い展開があって、でも『光』ほどシリアスにもなりきれず、書いてる本人にとってもわけのわからない作品になってます。
自分はいったい何を書きたかったのだろう……と自問すると、結局のところ、彩樹という個性を描くための作品だったのかもしれません。いろいろと問題はありますけど、好きなキャラですよ、彩樹って。
そのうち機会があれば、また違った形で彩樹×アリアーナという二人を書いてみたいですね。
とゆーわけで、約三年半にわたって一部の読者に支持されてきた『たた少』もこれで終わりです。
実は、この後のエピソードも考えてはあるんですけど。シルラート×早苗の結婚とか、彩樹×アリアーナの初夜とか。
特に後者は想像すると楽しいですねぇ。なにしろ相手がアリアーナですから。
「……やっぱり、なんかやりにくいな」
「わたしは初めてなのだから、サイキがしっかりとリードしてくれないと困るぞ」
「初めてなら初めてらしくしろよ! なんだよ、その落ち着きぶりは」
「いつものことだ、気にするな」
「それでも、これから初体験を迎えようとしている十代の女の子なら、もっとそれらしい反応ってもんがあるだろ? こう、ぽっと頬を紅く染めるとか、漠然とした不安を感じつつもこれから起こることを期待しているような表情とか」
「そうした繊細な感情表現をわたしに期待することが間違っているな。しかし、わたしだって緊張しているぞ」
「とてもそうは見えんが」
「平常時よりも心拍数が二十パーセント、体温がコンマ二度、上昇している」
「緊張しているヤツが、そんな冷静な分析をするかっ!」
「問題ない。さあ、始めてくれ」
……なんて感じでしょうか?(笑)
さらに、初めて二人で迎えた朝、目を覚ますと枕元にフィフィールさんが怖い顔で立っていたりして。
ちなみにマウンマン王国の世継ぎは、早苗とシルラートの子供です。二人の間に生まれた第一子を、アリアーナが養子にして王位を継がせることになります。ま、それはまだまだ先の話ですけど。
さて、ようやく『たた少』も完結(?)して、古いシリーズであと残っているのは『月羽根の少女』だけですね。こちらの最終話はただいま準備中です。比較的正統派の、第一話の続編みたいな形になるかと思います。早ければ年内に公開できるでしょうか。
それではまた、次の作品(何を書くかは未定)でお会いしましょう。
二○○二年三月 北原樹恒
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創作館ふれ・ちせ
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