「んっ……ふ……ぅん、……あぁ」
執拗なまでの翠の愛撫に、いつしかあたしは甘く切ない声を上げていた。
北原くんにさんざん開発されてしまった身体は、翠が相手でも反応してしまう。
翠の唇が、何度も何度も胸に押し付けられる。
強く吸われたり、軽く噛まれたり、舐められたり。
いつの間にかブラも外されて、露わになった胸に翠はいくつもキスマークをつけていく。
「だ、だめぇ……」
明日は北原くんの家に遊びに行く約束なのに、キスマークなんて。
もちろん、北原くんの家へ行ったからといって必ずセックスするわけではないが、あたしの生理で少し間が空いていた後だから、きっと北原くんはしたがっているだろう。本音を言えば、あたしもして欲しいと思っている。
それなのにキスマークだなんて。
他の男の子と浮気したと思われたらどうしよう。「翠につけられた」なんて言っても信じてもらえるとは思えない。されているあたし自身、まだ信じられないのだから。
「あっ……ふぅ。だめ……やめ……て」
「やめなーい」
優しく胸を愛撫していた翠の手が、ゆっくりと下に移動していく。スカートをまくり上げて、指先がショーツの上を前後に滑る。
「やっ……は、ぁふ……ぅんっ!」
薄いナイロンの生地越しの刺激に、あたしの身体は簡単に反応してしまう。
生理直後なのに、すごく敏感になっている。最後に北原くんとセックスしてから、かなり間隔が空いているためだろうか。
「んふ……く……、あっ……ふぁ……ひゃっ……」
あたしの女の子の部分はすっかりぬかるんでいて、翠の指の動きに合わせてくちゅくちゅと湿った音を立てている。
「理音ちゃん、濡れてる……の?」
初めての時の、北原くんと同じことを訊いてくる。ということは、翠は初めてなのだろうか。それにしてはずいぶんと上手な気がする。
しかし、考えてみれば当たり前かもしれない。あたしがそうだったように、翠だって自慰の経験くらいはあるに違いない。同じ女の子同士、どこをどうすれば感じるのか、人によってそれほど差のあるものでもないだろう。
「あ、ひゃぅ……んふ……あんっ!」
手が、ショーツの中に入ってくる。滴るほどに濡れているその部分を、直に触られてしまう。
「すごい濡れてる……こんなに感じてくれてるんだ。嬉しい……」
また、唇が重ねられる。あたしの唇を割って、翠の舌が侵入してくる。この頃にはもう、あたしは意識が朦朧とするほどに感じてしまっていて、条件反射というか、北原くんとキスする時と同じように自分から舌を絡ませていった。
「ん……んふ……ん……っ」
指が、中に入ってくる。あたしの中をゆっくりとかき混ぜている。最初は遠慮がちだったその動きも、あたしが反応していることを確かめると、どんどん大胆になっていった。
「んっ……くふ……ぅん……んっ!」
翠の舌がさらに深く侵入してくる。あたしの舌もそれに応える。混じり合った二人の唾液を夢中で飲み下した。
もう、頭の中は真っ白だった。何も考えられない。
「ん……ふぅ……んっ、ぅんん――っ!」
お腹の奥から、塊のような快感がせり上がってきて、ぱーんと弾けた。
意識が飛んでしまう。仰け反った身体がぶるぶると痙攣する。
痙攣が治まると、急に全身から力が抜けていった。
「あ……はぁ……はふぅ……」
ぴったりと重なっていたようやく唇が離れて、あたしの口はぜいぜいと酸素を貪っている。大きく上下している胸に、翠はもう一度軽く唇を押し付けた。
「……理音ちゃん、いってくれたんだね。すっごく可愛かった」
「翠……」
あたしは潤んだ瞳で、黙って翠を見上げた。こんな時、何を言えばいいのかわからなかった。
「感じている時の理音ちゃんってこんなに可愛いんだもの。北原くんが夢中になるのもうなずけるわ。ねえ、北原くん?」
「え……?」
台詞の最後の部分、翠は部屋のドアの方を見て言った。それはどういう意味だろう。
――まさか!
立ち上がった翠が、服の乱れを直しながらドアに近付く。
一瞬だけあたしを振り返って、意味深な笑みを浮かべてドアノブに手をかける。
「……北原くん、感想は?」
翠が勢いよくドアを開けると、そこには困惑した表情の北原くんが立っていた。
〈999999Hitsに続く〉
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