紅く染まったカード


 突然、祐巳さんはその土の塊に両手を突っ込んで穴掘りをはじめた。
 まるで犬みたいだ、と思った。だが私は、笑えなかった。何度挑戦しても、私にはこんな風に生き生きと土を掘るなんてできそうもない。
「あの、祐巳さん」
 背後で、何度か呼びかけたけれど、彼女は聞こえなかったのか必死で土を掘り続けた。それも素手で、懸命に。
 無防備な背中をこちらに向けて。
 思わず周囲を見回した。もちろん誰もいない。ここには私と祐巳さんの二人だけ。
 それが意味するところは――

 祐巳さんのうなじを見おろしながら、私はシャベルを手に取った。
(今なら……殺れる!)



あとがき

 ギャグのつもりが、なんだか怖い話になっちゃいましたね。でも、美冬さんもこのくらい積極性があれば…(笑)。

 ところで、さっきふと気付いたこと。
 その昔、リリアンの幼稚舎ではブランコからの飛び降りが流行ったそうですが、あの制服でそれをやると、飛び降りる瞬間は当然、パンツ丸見えになりますね。きっと当時は東京中のロリコンがリリアンに群がったことでしょう(笑)。



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