眠い…というか、だるいというか。
まあ、月曜日ってのはいつもそうだけど、今日は特別。
だからあたしは昼食もそこそこに、学校の屋上で昼寝をしていた。午後イチの授業はさぼるつもり。中等部の屋上は本来立入禁止だから、見つかる心配もない。
「どうしたの香奈。今日は朝からなんかヘンだよ?」
一緒に屋上でお弁当を食べていた、親友のひろみが聞いてくる。
「元気の良さだけがウリのあんたが、いったいどうしたの?」
「だけって…あのね〜! あたしには他にもこの可愛い顔とか、さらさらの髪とか、細いウェストとか脚とか、いっぱい取り柄があるんだから」
「その平らな胸とか?」
ひろみは笑いながら、あたしの一番の急所をぐさりと突いてくる。
「う、うるさいな〜! 自分がちょっと大きいと思って偉そうに」
「ちょっとじゃないよ、言っとくけど」
そう。確かにひろみは胸が大きい。クラスの中でも一、二を争う大人っぽいプロポーションの持ち主だ。
だけど…。
「ふ〜んだ。いくら大きくたって宝の持ち腐れじゃない」
「なによ。彼氏ナシでバージンなのは、あんたも一緒じゃん」
「ふ…」
勝った。
あたしは思わず、余裕の笑みを浮かべる。
「え…?」
ひろみが驚く。そりゃそうだろう。せっかくだから十分に驚け。
「まさか…香奈…あんた…」
「へへ〜。実はね…昨日、初体験しちゃった」
「え〜っ? うそっ! 誰と?」
驚きと、親友に先を越された悔しさが入り混じった表情のひろみを見て、あたしは少しばかり優越感に浸っていた。
あたしの名前は桂木香奈。
十四歳の中学二年生。
ちょっと小柄で痩せていて、ひろみの言う通り胸は小さい。だけど顔は自分でもけっこう可愛いと思う。
いまのところ、特定の彼氏ナシ。
だからひろみは驚いたんだ。
だけど、初体験。
それも、ナンパとか行きずりの相手じゃなくて。
ちゃんと、愛のあるセックス…だったと思う。
ただし、ちょっと普通ではないところがあったのも事実。
つまり、その初体験の相手というのが…。
あたしの、実の兄貴だったんだ。
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