「…てなわけで、昨日は結局三回もしちゃった」
「あのね〜、初めてでそれはやり過ぎ」
あたしの話を聞き終わったひろみが、真っ赤な顔で素直な感想を口にした。
「そっか〜。でも、いいなぁ。私もあんな素敵なお兄さんがいればな〜」
「いや、あたしはたまたまそうしただけで、別に近親相姦にこだわらなくても…」
あたしは、紙パックのジュースに刺したストローをくわえながら言う。
「…それもそうね。ねぇ、私のことお兄さんに紹介してくれない?」
ぶぅぅっっ!
ひろみのとんでもない台詞に、思わず飲みかけのジュースを吹き出してしまった。
「すごくカッコイイし、香奈のお兄さんなら、身元は確かだもんね。その上エッチが上手っていうんなら、ロストバージンの相手には最高だわ」
「あのね〜っ! 何考えてンの?」
口の周りを手で拭いながら、思わず大声を上げた。
「あれ? もしかして妬いてる? 愛しのお兄さまが他の女の子とエッチするのはイヤ?」
「…そんなわけないっしょ! ホントにいいの? アニキのことだから、言えば本気にしちゃうよ?」
「もちろん、本気」
ひろみは、あたしよりもずいぶんと大きな胸を張って応えた。
* * *
「…とゆ〜コトなんだけど…どぉ?」
とりあえずその夜、兄貴に昼間のことを話してみた。
予想通りというかなんというか、やっぱり目を丸くしている。
「どうって、お前な〜。人には言うなって言ったろ?」
「まぁ、言っちゃったものは仕方ないし。ねぇ、ひろみとしてあげてくれる?」
「ひろみちゃんって…ときどき遊びに来るメガネの子だろ? 中学生にしては胸の大きな。…けっこう可愛いよな。でも、いいのかホントに…?」
「じゃ、今度の日曜日ってことで。優しく、気持ちよくしてあげてよ」
「そうか…あの子ともできるのか…」
なんだか妙に嬉しそうな顔をしている兄貴の様子に、あたしは少しだけ――ほんの少しだけ――腹が立った。
* * *
そして、日曜日の夜――
友達はもう帰って、部屋にはあたしと兄貴のふたりだけ。
「…だから、人には言うなっていったろうが…」
ベッドに俯せになった兄貴は、妙にやつれた表情で力無くつぶやいた。
まさに、虫の息って感じ。
「あはは…。まさか、こんなコトになるとはね〜」
あたしとしては、もう笑って誤魔化すしかない。
「笑い事じゃない!」
兄貴が叫ぶ。
つまり、なにがあったのかというと…
「五人もいるなんて聞いてなかったぞ、俺は」
そう。
今日のことがひろみ以外の友達にもバレちゃって。
そしたら、兄貴にセックスを教えて欲しいって子が、思いのほか大勢いたってこと。
でも、いくらセックスに自信があるからって、一日で全員の相手をする兄貴も兄貴だと思う。どう見たって自業自得だ。
別に、半分は来週に回したっていいのに。
あたしはベッドに乗って、兄貴に寄り添った。
広い背中を指先でくすぐる。
「やめろよ! くすぐったいな」
兄貴は寝返りをうって背中を隠す。あたしはふふっと小さく笑った。
「まだ、眠っちゃダメだよ。あたしがしてもらってないもの」
今日は一日中、目の前で友達が次から次へと兄貴に抱かれている光景を見せつけられたんだもの。
あたしもすっかり興奮しちゃってる。
身体の奥が火照っているのがわかる。
我慢できるはずがない。
「お…お前、俺を殺す気かっ?」
そんな抗議の声は無視して、あたしは兄貴のモノを口にくわえた。
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