「あ、あ、あぁぁ……」
翌朝、目を覚ますと同時に思わず頭を抱え込んでしまった。
昨夜のシャンパンのせいか、少し頭が痛いけど、それはまあいい。
アタシの隣には、由維が寝ている。
これもいつものことだけど……、お互いにしっかりと抱き合ったままってのは……ねぇ?
それでも唯一の救いは、二人とも服を着たままってこと。
ま、由維のワンピースのボタンはいくつか外れていたし、スカートはパンツが見えそうなほどにまくれ上がってはいたけれど、それでもどうやら最後の一線は越えていないらしい。
アタシはほっと安堵の息をついた。
ホント、昨夜のあの調子じゃあ、そのまま最後まで行っちゃうかと思ったけど。どうやら、その前に眠ってしまったらしい。
ずいぶん酔ってたし、完全に理性をなくしてたよ、アタシ。
「あぁぁ……」
だんだん記憶が戻ってきて、アタシはまた頭を抱えた。
どうして、あんなことしちゃったんだろう。
やっぱり、お酒のせいかなぁ?
普段なら絶対こんなことないのに、昨日の由維は、なんだかとっても可愛く見えて。
アタシは、もう一度由維の顔を見た。
幸せそうな顔で眠っている。
うぅ……やっぱり可愛いなぁ。
由維を起こさないようにそぅっとキスをしようとして、ふと気が付いた。
由維ってば、アタシがあげたイヤリング付けたままだ。このイヤリング……あれ?
「……っ!」
アタシは思わず大声を上げそうになって、手で口を押さえた。
「ソレアさんっ!」
アタシは、ソレアさんの屋敷の、居間の扉を叩きつけるような勢いで開いた。ソレアさんはちょうど、朝のお茶を楽しんでいるところだった。
「あら、おはようナコちゃん。今朝はずいぶん早いのね? 来るとしても、もっと遅いかと思ってたけど」
ソレアさんは、意味ありげな笑みを浮かべる。そう、あのイヤリングをくれた時も同じ笑みを浮かべていた。
どうして、すぐに気付かなかったんだろう。
ソレアさんは、魔法で人の心を操ることができるほどの力を持っているということに。
「気に入ってもらえたかしら? 私からユイちゃんへのプレゼント」
あぁ……やっぱり……
……うん、きっと由維は喜んでたと思う……けどさ……。
でも。
アタシは怒ってるんだからね!
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