だから姉にはかなわない (中編)


「慎くん、そろそろ始めよっか?」
 ベッドの上に座った姉貴が言う。
 自分の部屋にいて、しかも夜だというのに学校の制服を着て。
 ただしそれは、姉貴が通う私立白岩学園のシンプルなブレザーではない。フリル付きのブラウスと大きなリボンが可愛いと評判の、私立聖陵女学園の夏服だ。
 おそらく、この辺りでは人気ナンバーワンの制服だろう。聖陵へ進学した中学時代の友達から、今日のためにわざわざ借りてきたんだそうだ。
 まったく、姉貴ってば……でもちょっと嬉しいかも。


 あれから十日ほどが過ぎた土曜日の夜。
 いよいよ『撮影会』をすることになった。
 今夜、家には俺と姉貴しかいない。親父は単身赴任だし、この週末は母さんも親父のところへ行っている。単身赴任といっても特急で二時間くらいの街だから、母さんはちょくちょく行き来しているんだ。まさか、家で子供たちがこんなことをしているとは夢にも思うまい。
 隠し撮りだった前回と違い、今回はかなり本格的な撮影だった。
 カメラも三台用意した。
 一台は俺が手に持って、あとの二台はベッドの横に置いた三脚にセット。うち一台はリモコンで操作して、もう一台はインターバルタイマーで自動撮影させる。
 これでシャッターチャンスを逃さずに、いろんな角度から撮影できるって寸法だ。撮影用のライトも借りてきたし、もう完璧。
 姉貴の方も準備万端のようだ。
 今日はずいぶん長く風呂に入っていたし、髪も丁寧にセットして、お化粧もしている。少しでも綺麗に撮られたいっていう女心だろうか。そうまでしなくても、姉貴は十分綺麗だと思うんだけど。


「いいよ、始めよう」
 俺はカメラを構えた。
 最初は制服を着たまま、ベッドの上で色々とポーズを取ってもらう。もちろん、ミニスカートの中が覗けるような姿勢が多い。
 制服の影響もあるんだろうけど、今日の姉貴は清純さと色気のブレンドが絶妙で、普段より二割り増しくらい魅力的な気がする。性格は写真に写らないからね。
 ブラウスのボタンをいくつか外して、胸の谷間を強調してもらう。今日はブラもずいぶんと高級そうな物だ。
 続いて、スカートをまくり上げてショーツを露わにさせる。姉貴ってば、かなりきわどいTバックなんて着けていて、白いお尻が目に眩しい。
 清純な制服と過激な下着のミスマッチがたまらない。
 ベッドに俯せになった姉貴が、誘惑するような表情でこちらを見上げる。
 微かに潤んだ挑発的な瞳。
 濡れた唇。
「どぉ? 艶っぽい?」
「ああ、もう最高!」
 俺はファインダーを覗いたまま答えた。
 これを見たら、どんな男だってイチコロだ。
「じゃ……そろそろ……」
 姉貴は仰向けに体勢を変えると、胸に手を当てた。ブラウスの上から、大きな胸をゆっくりと揉む。
「あ……はぁ……んっ……」
 すぐに、鼻にかかった切ない声を漏らし始める。この前の時「見られて感じる」って言ってたけど、やっぱり今日もそうなんだろうか。
「んふ……ん……ん……はぁ」
 大きな胸が、姉貴の手の中で軟体動物のように形を変える。
 小さく開いた唇から、微かに見える舌が艶めかしい。
「……姉貴って、いつもこんなコトしてんの?」
 シャッターを押しながら聞いてみる。
 なんだか、ずいぶんと手慣れているような様子だから。
「まあ、ね」
 姉貴がぺろりと舌を出した。
「でも、慎くんだってオナニーくらいするでしょ?」
「ん……そりゃ……まあ」
「だったらいいじゃない。お姉ちゃん、気持ちイイこと大好きだもん」
 そう言って姉貴は再び自慰行為に意識を集中する。
 スカートを下ろして、俺に見えやすいように身体の向きを変えると、脚を大きく開いた。
 ショーツの上から中指を当てて、割れ目に沿って滑らせる。
「は……ぁぁ……あぁっ!」
 びくっと身体を震わせる。意図せずに敏感な部分に触れたって感じだ。
「んふ……んふ……ぅ……んぁっ、ん!」
 前後に滑らせていた指を、こんどは円を描くように動かす。
 クリトリスの上あたりで小さな円を、割れ目全体を擦るように大きな円を描くように。
「はぁぁっ! あぁっ……あぁっ……んんっ! あ〜っ!」
 指の動きに合わせて、腰も円運動を始めていた。声のトーンが一段上がる。
「……気持ちイイんだ?」
「ぅん……イイ……すっごく、感じちゃう。ほらぁ……」
 姉貴は手をどけて、その部分を俺の前に晒した。
 手が当たっていた部分が、楕円形に色が変わっている。
 濡れて、染みになっているんだ。
 これも刺激的な眺めだった。この前は最初から全裸だったから、こんなシーンは初めてだ。
「……胸も、見せて」
「ん……」
 俺のリクエストに応えて、姉貴はブラウスのボタンをひとつずつ外した。ブラのフロントホックも外して、大きめの、形のいい乳房を露わにする。
 真っ白い、柔らかそうな二つの膨らみの頂上に、ピンク色の突起が乗っている。
 姉貴は右手をまたショーツの上に戻すと、左手を胸にやって乳首をつまんだ。
「んっ! っく……ん」
 親指と人差し指で小さな突起をつまんで、きゅっきゅと引っ張る。
「イ、イイ……感じちゃう……」
 右手と左手と、どちらからの刺激によるものだろう。ショーツの染みが先刻よりも大きくなっている。
 濡れたショーツがぴったりと肌について、唇のように赤い部分が透けて見えた。
「すごい、濡れてる……。透けて見えてるよ、姉貴」
 もちろん、その部分はアップで撮った。
「……だって……気持ちイイんだもん……」
 目が、泣いているみたいに潤んでいる。
「スゴイ……スゴイ……感じちゃうの……ほら……」
 ショーツの脇から指を入れて動かしている。
 透けた薄い布地の下から、クチャクチャと濡れた音が聞こえている。
 すごく、いやらしい音だ。
 もう、指を中に入れてしまっているようだ。
「ね、……見て……」
 姉貴がショーツを脱いだ。小さな布に隠されていた秘所が、全て曝け出される。
 そこはぐっしょりと濡れて、陰毛がぺったりと張り付いていた。
「いっぱい濡れてるでしょ? すごく感じるの……あぁ……」
 両手で、割れ目を開いてみせる。広げられた穴の中から、透明な液体が滴っていた。
「あぅん……」
 姉貴の中指が、するりと中にもぐり込む。指は簡単に付け根まで埋まった。
「はぁ……あぁ……あ……ん。ぉ……奥まで入っちゃったぁ……」
 続いて人差し指が、そして薬指までが姉貴の中に飲み込まれていった。
「あぁん! あぁ、スゴイ! 入ってるぅ……奥まで……あぁっ、あぁぁっ!」
 三本の指の間からじゅぶじゅぶと湿った音が漏れ、愛液が泡立っている。
「すごい……三本も入ってる……大丈夫なの?」
「うん……。でも、もうこれでいっぱい……。イイ……はぁっ、あ……」
 溢れ出した愛液はお尻の方まで流れ、シーツにも染みを作っている。
「ねぇ……そこにある、青いビン取って……」
 姉貴が、棚の上を指差して言った。そこには、姉貴の化粧品やなんかが置かれている。
 俺は言われた通り、何本か並んだビンの中から、水色のビンを取って姉貴に渡した。化粧水の容器らしいが中身は空っぽ。栄養ドリンクよりもやや小ぶりの、小さなビンだ。
「何するの?」
「ふふ……わかんない?」
 姉貴は小さく笑って、ビンをあそこに擦り付けた。ビンはたちまち愛液にまみれてヌルヌルになる。
 これは……まさか……。
「あぁ〜っ! あぁっ! んんっ!」
 左手の人差し指と中指で割れ目を広げて、ビンの尻を当てた。
 膣口が押し広げられて……。
「はぁっ、んん……っ!」
 ビンはヌルリと姉貴の中へ滑り込んだ。
「えへへ……ほらぁ、入っちゃった……」
 指で開いてそれを俺に見せる。
 刺激的な光景だった。
 姉貴のおまんこから、ビンの蓋の部分だけが顔を出している。
 あんな物が入るなんて、女体の神秘とでも表現したらいいだろうか。
 痛くないんだろうか。でも姉貴は、これ以上はないってくらい気持ちよさそうに、恍惚とした表情を浮かべている。
「あぁっ! あぁっ! あんっ! はぁぁっ! んっ!」
 姉貴の右手がビンを動かす。
 リズミカルな動きに合わせて、半開きの唇から甘ったるい声が漏れる。
 奥まで埋められたビンに押し出されるように、愛液が溢れ出している。
 先刻まで透明だったはずのそれは、今は白く濁っているのがはっきりとわかった。
「姉貴ってば……いつもこんなことしてんの」
「……ゆっ、指だけで物足りないときは……ね。あぁぁん! 奥まで届いてるぅっ!」
 ズブズブと奥まで押し込んで、また引き抜いて。
 何度も何度も繰り返す。
 全身が汗で濡れて光っている。
「はぁぁんっ! イイィ〜っ! あぁん、あん! あんっ!」
 水色の綺麗なビンがピストン運動を繰り返し、姉貴を狂わせていく。
 さて……。
 俺は前回以上に激しい姉貴の痴態を、驚き、見とれながらも調子よくフィルムに収めていた……筈なのだが、ここで大きな問題にぶつかった。
 動きにくいんだ。
 前回は盗撮で、一カ所にじっと立っていたからそれほど問題にならなかった。だけど今回は、姉貴の姿勢に合わせてこまめにベッドの周りを移動し、ベストポジションで撮影しなければならない。
 なのに、この動きにくさったら。
 つまり……。
 この前と同様、また俺のモノは勃起しているんだ。
 あの時以上に興奮してしまっている。
 もう、ビンビンのギンギンだ。
 ジーンズの前が痛いほどに突っ張って、前屈みにならざる得なくて……動きにくいったらありゃしない。スウェットやジャージのような柔らかいズボンを穿くべきだった、って思っても後の祭り。
 俺がなんとか動きやすい体勢を見つけようと、もぞもぞ試行錯誤していると、姉貴に股間の膨らみを気付かれてしまった。
「……何やってんのよ?」
 ビンを動かす手を止めて、俺をジト目で見る。
「実の姉に欲惰するなんて、慎くんって変態?」
「い、いや。これが普通だと思うけど……」
 健康な男子高校生と、その目の前で激しいオナニーを繰り広げる可愛い女子高生。
 血がつながっているから……なんて理由だけで、男の生理現像を抑えられるはずもない。
 襲いかからずにいるだけでも、俺の自制心は聖職者並みだと思う。というか、まあ、弟にとって姉ってのは無条件に怖い存在で、とてもそんな気を起こすことはできないってのが事実なんだけど……、そう考えるのは俺だけだろうか?
「……そんなんじゃ、動きにくいっしょ?」
「だから困ってるんだよ!」
 姉貴は呆れたように肩をすくめる。
「……まったく。ちょっとこっち来なさい」
 姉貴の前に立つと、いきなりジーンズのファスナーを下ろされた。
 驚くより先に姉貴の手が潜り込んで、いきり立った俺のモノを引っぱり出す。
 それはもうギンギンに固くなって、先端から透明な汁を滴らせていた。
「へぇ、慎くんのってけっこう大きいね」
「あ、姉貴……?」
 姉貴の手がそれをきゅっと軽く握る。
 ビクンビクンと脈打っているのがわかる。
 姉貴ってば、何する気? まさか……そんな……。
 その、まさかだった。
「お姉ちゃんがヌいてあげる。それで楽になるでしょ」
 握った手を上下に動かす。
「ちょっと! 姉貴……あぁっ!」
 姉貴を止めようとする間もなく、俺の快感ゲージはレッドゾーンに突入してしまう。
「ふふ……ん、気持ちイイ?」
「……いい、気持ちいい……」
 女の子に触られるなんて、初めてのこと。いや、まだ小学校低学年の頃に、遊びで姉貴と見せっこした時以来だけど、それは数に入れなくてもいいだろう。
 とにかく『性』というものを意識するようになってからは初めての体験なのだ。しかも、姉貴の痴態をさんざん見せられて、もう限界寸前まで高ぶっている。そこを女の子の柔らかな手で触られて、気持ちよくないわけがない。
「こんなに固くしちゃって。実の姉に握られて感じるなんて、慎くんってやらしいんだ〜」
「じ、実の弟のを握るのはやらしくないのかよっ?」
「じゃあ、止める?」
「…………やだ」
 姉貴ってば、やっぱり意地悪だ。
「お姉ちゃんがエッチなのは知ってるっしょ。もっと気持ちよくしてあげる」
 手を動かしながら、姉貴はその先端に顔を寄せた。柔らかな唇が押しつけられる。
「ふ……くっ」
「ふふ……、敏感だね」
 続けて二度、三度と亀頭にキスをする。
 次の瞬間、俺のペニスは姉貴の唇の中にするりと飲み込まれていた。
「あぁっ!」
 生まれて初めての刺激に、思わず女の子みたいな声を上げてしまう。
「あ……あぁ……」
 舌が、亀頭に絡みついてくる。
 唾液で濡れた口の粘膜が、俺のペニスを擦り立てる。
 ちゅぷ、ちゅぱ……。
 音を立てて、奥までくわえ込んでいる。
 舌がなにか別な生き物のように絡みついてくる。
 俺の頭は、真っ白になっていた。
 なにも考えられない。
 姉貴にフェラチオされている。
 姉貴の口を犯している。
 ただそれだけを意識していた。
「気持ちイイっしょ? こんなコトもできるんだよ〜」
 一度ペニスを吐き出すと、姉貴は目を細めて笑った。
 そして、自分の胸を手で持ち上げるようにして、唾液に濡れた俺のペニスを挟み込む。
 柔らかな乳房で包み込んで、交互に擦るように動かした。
「あ……は……ぁっ」
「いいでしょ? 弟にパイズリしてくれるお姉さまなんて、普通いないよ」
「……いい……いいよ!」
「慎くん、手が止まってる。せっかくエッチなことしてあげてるんだから、ちゃんと撮りなよ」
「え? あ、ああ……」
 すっかり忘れていた。俺は慌ててカメラを構え、三脚にセットした方のカメラのリモコンシャッターも押す。
 姉貴は胸で挟んだまま、ペニスの先をペロペロと舐めた。
 そのまま亀頭を半分くらい口に含んで、上目遣いにこっちを見上げる。
 これ以上はないってくらい、艶めかしい表情だ。
 俺は気の遠くなるような快感に抗いながら、その表情を撮影した。
「あ……あ……!」
 姉貴は胸を放すと、また直に手で握ってきた。
 根元を手でしごきながら、先半分を口に含んで舌を滑らせる。
 顔が前後に動いてペニスを激しく擦る。
 くわえたまま、顔を左右に振る。
 手の動きも速くなって……。
「あ……あ、姉貴ぃっっ!」
 ドクン! ドクン!
 大きく脈打った俺のペニスが、熱い精を吐き出した。
 イってしまった。
 生まれて初めて、自分の手以外のものにイかされてしまった。
 姉貴の口の中に、射精してしまった。
「あ……ぁ……」
 噴き出した大量の精液は、姉貴の口には収まりきれずに、顔と胸をべっとりと汚している。
 何度も何度も出してしまった。この前、姉貴のオナニーを見ながら射精したときよりもさらに多い。
 姉貴に向かって顔射してしまうなんて怒られるかと思ったけど、姉貴は嫌がる様子もなく、少し驚いたように俺を見上げていた。白濁液が口から溢れ出し、頬や顎、そして胸の上を流れている。
 夢中でシャッターを押した。
 俺の精液が姉貴を汚している……その事実に、ひどく興奮していた。
 しばらく黙って俺を見つめていた姉貴は、小さくクスっと笑った。
 顔にかかった精液を、指で拭って口に運ぶ。
「あ……姉貴……」
 驚いた。以前読んだその手の雑誌には「好きな人のモノでも飲むのは気持ち悪い」とか「彼氏が喜ぶから、仕方なく飲んでる」なんて女の子の言葉が載っていたのに。
 だけど姉貴はそうするのが当たり前のように、頬や口の周りに付いた精液を舐め取っている。顔のものを全部舐め終わると、今度は胸にかかった分も。
 それが終わってからようやく、顔と手をティッシュで拭いた。
「すっごい量。ずいぶん溜まってたんだね。それとも、お姉ちゃんのフェラがそんなによかった?」
「…………」
 俺は恥ずかしくて、なにも答えられずにいた。すると姉貴は気分を害したように頬を膨らます。
「どぉなの? ちゃんと答えなさいよ!」
「……すごく、良かった。信じられないくらい……自分でするのなんて問題になんなくて……。姉貴って……その、テクニシャン?」
「まぁね、けっこう自信あるよ。さ、撮影の続きしようか」
 姉貴は嬉しそうにえへへっと笑いながら、ベッドに横になろうとした。だけど、すぐにがばっと起きあがって俺を睨む。
「……って、ちょっと慎くん。あんた、ぜんぜん治まってないじゃない!」
 そう。あれだけ大量に射精していながら、俺のモノはまだ隆々と上を向いていたんだ。


――後編に続く――

――前編に戻る――



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