部屋の扉を開けると、ベッドに座っていた兄貴がこっちを見た。
あたしは、手を後ろに組んで兄貴の前に立つ。
「…どぉ?」
「…うん。可愛い可愛い」
兄貴は笑って言う。
ちょっとだけ安心して、兄貴の隣に座った。
胸がドキドキしてる。
これから、どうなるんだろう。
あたし初めてだもん、経験豊富な兄貴にまかせておけばいいんだよね。
ピッタリと身体を寄せると、兄貴の体温が感じられた。
生まれたときからずっと、傍にあった温もり。
とても懐かしくて、気持ちいい。
「香奈…」
兄貴の手が、あたしの肩を抱く。
ぴくりと、小さく震えた。
「緊張してるな?」
「…当たり前じゃない」
「うん、初々しくて可愛いな」
耳元でささやかれる。
唇が、耳たぶのうぶ毛に微かに触れる。
ちょっとくすぐったくて、首を縮めた。
顎の下に手が当てられる。
逆らわずに、上を向いた。
兄貴の顔がすぐ近くにあった。
あたしは軽く唇を突き出すようにして、目を閉じる。
柔らかな唇が触れた。
…キスは初めてじゃない。
だから少し余裕を持って、兄貴の唇の感触を確かめることができた。
しばらくキスを楽しんだあとで、ベッドに仰向けにされる。
兄貴の身体が覆いかぶさってくる。
もう一度キスをした。
こんな体勢でのキスは初めて。
ベッドに横になってのキスは、座ってのキスより何倍もエッチな気がする。
「う…ん」
舌が、入ってきた。
ディープキスは初めて。
兄貴の舌と、あたしの舌が触れる。
不思議な感触…。
ぎゅっと、兄貴の身体に腕を回した。
兄貴の舌が、口の中で動いている。
あたしの舌が、あたしの意志とは無関係に動いてそれに応えた。
舌が絡み合う。
初めて知った。
これまで、キスは単なる愛情表現の手段だと思っていた。
だけど本当は違う。
キスは、それ自体とても気持ちのいい行為なのだ。
「ん…ぅ…ぅん…」
もっと、もっと、うんと深くつながりたい。
精一杯舌を伸ばして、兄貴の舌に絡ませる。
柔らかな粘膜同士が密着して擦れ合う。
それはいわば、口と口とのセックスだ。
あたしがキスに夢中になってる間、兄貴の手はあたしの胸を触っていた。
あたし、まだ胸はあんまり感じない。
でも、セーラー服の布地を通して乳首をくすぐられると、くすぐったいような、ヘンな感じがする。
あん…。
「やぁ…」
兄貴の手が、セーラー服の中に入ってきた。
直接、胸を触ってる。
手のひらですっぽりと包み込んで、揉んでる…。
指先で、乳首をつまんでる…。
「は…ぁん…」
思わず、声が漏れてしまう。
すごく恥ずかしい。
そしてくすぐったくて、少し気持ちいい。
「…あたし、胸ちっちゃいもん。触っても面白くないっしょ?」
「小さい胸には小さいなりの良さがあるんだよ」
「男の人ってみんな、巨乳が好きなんじゃないの? こんなちっちゃな胸で興奮するの?」
そう言ったら、兄貴はあたしの手をつかんだ。
そして、自分の股間へと導く。
そこは…。
あ、固い…。
固くなって、大きく膨らんでいる。
勃起…してるの?
「香奈とエッチしてるから、こんなに興奮してるんだぞ」
そう…なんだ…。
あたしは、兄貴のジーンズのファスナーを下ろした。
手を入れて、兄貴のものを触って…取り出してみる。
ビデオでは先刻見たけど、本物は初めて。
びっくりするくらい大きくて、太くて、固くて…。
そして、熱い。
そっと握ってみる。
ビクン、ビクンて脈打ってる。
こんな大きなものがあたしの中に入るなんて、信じられない。
なんだか怖い。
あそこが裂けちゃうんじゃないかな…なんて。
「ビデオの男の人より…おっきいね」
「だろ? 自慢の逸物だからな」
兄貴が笑う。
そっか。兄貴のって、大きいんだ。
あたしは小柄でしかも初体験なのに、大丈夫かな。
やっぱり、最初は痛いんだろうなぁ。
そんなことを考えながら、手を少し動かしてみる。
兄貴が微かに声を上げた。
それで、この奇妙な物体が兄貴の身体の一部なんだって実感できた。
ちょっと恥ずかしいけど、まじまじと観察してみる。
男の人のって、こんなふうになってるんだ。
何かヘンなの…。
「こうすると、気持ちいいの?」
手を動かしながら聞く。
上下に動かしたり、回すようにしてみたり、握る強さを変えてみたり、いろいろと試してみる。
その度に兄貴は少しずつ違った反応をした。
「ああ…気持ちいい」
優しい声で言う。
そして、あたしの頭を撫でてくれる。
それが嬉しかった。
だから、もっと兄貴を喜ばせて上げたいなぁって。
そう思った。
ビデオで観たときには気持ち悪いって思ったのに、あたしはそうするのが当たり前のように、唇を寄せた。
そっと、キスしてみる。
手で握っている部分はすごく固いのに、先っぽの部分は意外と柔らかかった。
亀頭…っていうんだっけ。
たしか、スポンジみたいな構造なんだよね?
温かくって、柔らかい。
少しだけ口を開いて、舌で触れてみた。
他に喩えようのない、不思議な感触だった。
そのまま、亀頭の部分を舐めまわす。
兄貴が、気持ちよさげに溜息をついた。
それで調子に乗ったあたしは、思い切って全体を口に含んだ。
そうすると、外から見てるよりもずっと大きいって実感する。
口の中いっぱいに頬ばっている感じ。
舌を動かしてみる。
歯を立てないように気をつけなければいけないってことは、知識では知っている。
だけど、こんなに大きなものをくわえてそれを実行するのは、とても難しいことだった。
あたし、ちょっと八重歯だし。
歯が当たっちゃったらゴメンね、兄貴。
それでも、少しずつ頭を動かしてみた。
勢い余って喉の奥に当たって、吐きそうになったりもしたけど我慢する。
初めてのフェラチオ…。
あたしは、その行為に夢中になっていた。
それは、キスとか、手で触ったりするのなんか足元にも及ばないくらい、いやらしい行為だった。
しかも、実の兄貴のをくわえている。
そう考えただけで、すごく興奮してしまう。
「ん…、ん…」
先刻のビデオを思い出して、真似をして頭を動かした。
強く吸ってみたり。
おしっこの出る穴を舌先でくすぐってみたり。
そんなことも全然イヤじゃなかった。
相手が兄貴だからなのか、それとも単にあたしはフェラチオが好きなのだろうか。
だんだんコツがわかってきたから、少しずつ動きを速くしていく。
「はぁぁ…。そう、その調子…イイぞ」
兄貴は両手で、あたしの頭を包み込むように撫でる。
息づかいが、先刻よりも荒くなっているのがわかる。
気持ちイイ…の?
あたしの口で…感じてるの?
生まれて初めてのあたしのフェラチオで、感じてくれてるの?
「んんっ…んっ…んん…」
あたしは夢中で頭を動かした。
「…香奈っ!」
頭を撫でてくれていた兄貴の手に、急に力が込められる。
両手でぎゅっと頭を掴んで、自分の股間に押しつけるように。
「…っ、んん〜っ!」
乱暴に喉の奥まで突き入れられて。
一瞬後には、それが口の中で弾けた。
どくん、どくんって脈打って、熱いものが噴き出してくる。
どろりとした液体が、口の中を満たす。
一瞬、気が遠くなりかけたけど、咳き込みそうになるのを堪えて、涙ぐみながら口の中のものを飲み下した。
一度に全部は無理。
ごくん、ごくんと何度も喉を鳴らす。
「あ…はぁ〜」
兄貴が大きく息を吐き出した。身体から力が抜けていく。
イッちゃったんだ…。
あたしの口で…。
あたしの口の中に、射精したんだ。
涙ぐんでいるのは、苦しかったからだけじゃない。
嬉しかった。
何故だかわからないけれど、とても嬉しかった。
だけど、そう感じていることを兄貴に悟られるのがなんだか恥ずかしくて、あたしは顔をしかめて見せた。
「うえぇ、ヘンな味ぃ〜」
「大丈夫か? 初心者のくせに無理するから…」
兄貴がまた、頭を撫でてくれる。
「だって…」
兄貴ってば、気持ちよさそうだったし。
舐めてるうちに、あたしもなんだか、興奮してきちゃったし。
「…ね、どうだった? 気持ちよかった?」
「ああ、初めてとは思えないくらい良かった。お前、きっと素質あるぞ」
「えへへ〜」
ちょっと…いや、本音を言えばとても嬉しい。
でも、十四歳の女の子が「フェラチオが上手」って褒められて、喜んでていいのかな。
…ま、いいか。「フェラチオが上手ってのはイイ女の必須条件だ」って、友達が言ってたっけ。
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