〜5〜


「じゃあ、今度は香奈が気持ちよくなる番だな」
 兄貴は笑って言うと、ベッドの上に座っていたあたしを捕まえて押し倒した。
 手が、スカートの中にもぐり込んでくる。
「あ…」
 兄貴の手は内腿を滑って、あたしの…エッチな部分に触れた。
 下着の上から、割れ目にそって指を動かしている。
「あ…、あん…」
 自然と、声が出ちゃう。
 気持ちイイ…。
 すごく感じる…。
 だってあたし、先刻のフェラチオで、すっかり興奮しちゃってるんだもの。
 ねぇ、触って。
 もっと触って。
 もっと激しく。
 そうおねだりしたいくらい。
 だけどそれを口に出すのは恥ずかしい。
 濡れてる…。
 濡れて、溢れ出してる…。
「あっ…、あぁっ」
 イイ…自分で触るのより、ずっと気持ちイイ。
 兄貴の手が、下着の中にまで侵入してくる。
「は…ぁっ!」
 直に、触られちゃった。
 ヌルリとした感触。
 …恥ずかしい。
 こんなに濡れてるあそこを触られちゃった。
 兄貴は、口元にかすかな笑みを浮かべてる。
 ちょっと触っただけで、あたしが今どんなに感じているのかわかったんだろう。
「あっ…ん…あっ…は…はぁっ」
 あたしの愛液にまみれたヌルヌルの指が、クリトリスを撫でている。
 指がリズミカルに動くたびに、勝手に声が出ちゃう。
「あぁっ…あぁっ…」
 イイ…イイ…。
 して、もっとして。
 もっと指を動かして!
「あぁ…あぁ…あ…はぁ…、あ〜っ! あぁ〜っ! あぁぁ…やぁっ!」
 あたしの身体が、びくりと震えた。
 指が、入ってきた。
 あたしの中に。
「はあぁぁぁぁぁっっ!」
 …………
 …一瞬、意識が真っ白になった。
 …イッちゃった。
 指が入ってきた瞬間、あたし、イッちゃった。
 …感じる。
 指が…兄貴の指が、あたしの中に入ってる。
 自分の指よりずっと太い。
 兄貴の指が、奥まで入ってる。
 あたしの中で、ゆっくりと動いてる。
「あ…んん…、あぁ…」
 イッたばかりなのに、あたし、また感じてる。
 腰が、勝手に動いちゃう。
 自分で腰を動かすと、もっと気持ちイイ。
 あまり激しく動くと少し痛いけれど。でも、それが堪らない。
「イイ…イイ…あぁ…、あ…、あ…」
 もう…ダメ。
 おかしくなっちゃう。
 ううん。もう、おかしくなっちゃったのかも。
 だって、初めてなのにこんなに感じて。
 こんなに濡れて。
 自分から腰を振ってる…。
 ねぇ…兄貴、なんとかして…。
「あ…ヤダ、ダメ! や…あぁぁっっ!」
 指が引き抜かれた瞬間、あたしは「ヤダ!」って叫んでいた。
 だって、もうちょっとでまたイけそうだったのに。
「心配すんな。もっと気持ちイイことしてやるから」
 兄貴は下着に指を引っかけて、それをするすると引き下ろした。
 そしてスカートをまくり上げると、あたしの膝の辺りを押さえて、大きく脚を開かせる。
「ヤ…ヤダぁ…」
 こんなの、恥ずかしすぎる。
 触られるだけならまだしも、こんな大股開きであそこを兄貴の目に晒すなんて。
 熱く濡れていた部分がひんやりとした外気に触れて、そこが露わになっていることをいやでも思い知らされてしまう。
 脚は押さえられているけれど手は自由だから、あたしは両手でそこを隠そうとした。
 すると、兄貴の手があたしの手に重ねられる。
「…やだっ!」
 その意図はすぐに理解できた。
 兄貴の手があたしの中指を掴んで…。
「やぁっ!」
 無理やり、中に入れたんだ。
 あたしは慌てて指を引き抜こうとしたけど、兄貴の手にがっちりと押さえられてしまっている。
「やぁ…あぁ…あ…」
「香奈だってオナニーくらいしてるんだろ? 俺の見てる前でして見せろよ」
「や…ヤダぁ…あ…あぁ…」
「ヤダって言って、感じてんじゃん?」
「…ズルい…兄貴ってば…あぁっ!」
 オナニーして見せろ、なんて言ってるけど、指を動かしているのは兄貴の手だ。
 兄貴があたしの指を使って、あたしを攻め立てている。
「やぁっ…あぁっ、あぁっ、あぁん…」
 これは先刻、兄貴の指を入れられていたときよりも恥ずかしい。
 無理やりとは言え、形の上では兄貴の見てる前で一人エッチをしているような体勢だ。
 兄貴に操られたあたしの指が、自分自身を犯している。
 くちゅくちゅ、ぬちゃぬちゃと、いやらしい音を立てている。
「はぁ…はぁ…あぁ…ん…あぁ…ひぁ…」
「気持ちイイだろ?」
「……ぅん」
 恥ずかしかったけれど、あたしは小さく頷いた。
 だって、ここで止めてほしくなかったんだもの。
 もっとして欲しいんだもの。
「じゃあ、そのまま続けてろよ」
「え…?」
 兄貴の手が離れる。
 それでもあたしは、自分で指を動かし続けていた。
 もう、止められない。
「ひっ…ひゃあぁ…やぁぁっ!」
 不意に、指ではないものがそこに触れた。
 一瞬遅れて、その正体に気付く。
 兄貴の、舌だ。
 あたしの股間に顔を埋めて、アノ部分を舐めている。
「あぁっ! ひぃぁ…あんっ、あ〜っ!」
 全身がびくびくと震える。
 こんなの、初めての感覚だ。
 柔らかくって、ヌルヌルして。
 すごい…すごい…。
 指よりも感じちゃう。
 仔犬がミルクを飲むときのように、ピチャピチャと音を立てている。
 兄貴に舐められながら、あたしは無我夢中で指を動かす。
「あ………、ぁ……」
 あまりの快感に、口は大きく開いているのにもう声が出ない。
 息ができない。
 あたしは、これまで経験したことのない高みにまで到達していた。
 なのに、まだまだ登り続けている。
 頂は一体どこにあるのだろう。
 このまま登り続けたら、一体どうなってしまうのだろう。
 恐いくらいに、感じてる…。
「は…ぁ……、ぁ…、…あ!」
 兄貴の舌が、中に入ってくる。
 あたしの身体を、内側から舐めている。
「あ…、あぁっ…ダメ…ダメ…だめぇ…」
 また、イッちゃうよぉ…。
 もう…ダメ…。
「気持ちイイ?」
「イイのぉ! 気持ちイイの…イッちゃう…イッちゃう! イッちゃうぅぅっ! ああっ…ひぃぃぃっっっ!」
 なんの前振りもなしに、いきなりクリトリスを強く吸われた。
 雷に打たれたような衝撃が全身を貫く。
 あたしは思いっきり悲鳴を上げて。
 そして、頭の中は真っ白になって。
 …そのまま、ふぅっと意識が遠くなった。



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